第45話「興味深い情報」 診断から1年4ヶ月
この病気と診断されて3ヶ月ほど経った頃、欧米の情報を調べている中で興味深い記事を見つけました。その記事をきっかけに、過去に服用していた薬を見直したところ、内科で緊張性頭痛に処方されていたデパス0.5mg(断薬済み)や、循環器科で頓服に処方されていたワイパックス0.5mgなどが該当していることがわかりました。
ベンゾジアゼピンとコルチゾール
これらはベンゾジアゼピン受容体作動薬に分類され、頭痛・頻脈・不安・不眠など幅広く処方される薬です。厚生労働省も長期使用のリスクを警告していて、依存や耐性の形成、離脱症状の発現などが問題視されています。症状として、頭痛・脱力感・疲労感・動悸・消化器の不調など、コルチゾール不足と似た反応が現れることもあるそうです。
また、HPA軸(視床下部ー下垂体ー副腎)に影響を与えることも報告されています。GABA作用の増強によりCRHやACTHの分泌が抑制され、コルチゾール・DHEA・性ホルモンの生成が減少するほか、副腎の感受性を乱す可能性もあるとのことでした。
さらに、副腎皮質ステロイドと交差耐性※1があることや、服用中はコルチゾールが低下し、断薬後にはリバウンド的に上昇することも報告されています。健康な方では問題にならない場合もありますが、コートリルを補充している私にとっては無視できない内容でした。
回復の可能性
私の負荷試験では視床下部性の疑いがあり、DHEAとテストステロンが低値でした。オンライン診療のS先生によると、ベンゾジアゼピンの影響に関する国内症例も少数ながら報告があり、服用を控えることで副腎機能が一部回復する可能性もあるとのことでした。
そこで、HPA軸の回復リストを作成し、生活面の改善を続けました。服用歴の影響かどうかはわかりませんが、体調は次第に安定し、ACTHの数値も改善しました。最後に服用してから1年半後の2023年11月には、内分泌専門医のS先生から「回復しているかもしれない」との診断をいただきました。
服薬の影響と学び
内分泌のT先生からも、コートリルは他の薬の影響を受けやすく、併用注意の記載がない薬でも影響することがあると教えていただきました。実際に、断薬によって体調が改善した患者さんもいるそうです。
その後は、生活リズムや睡眠の改善、欧米情報の参考、漢方治療の併用などを続けました。どれが直接的に効果をもたらしたかは不明ですが、ステロイドとベンゾジアゼピンに交差耐性があることを知っていたことで、医療判断や薬の選択に慎重になれました。
今年の初めにヘルニアと診断された際には、ベンゾ系の鎮痛薬を勧められましたが、知識があったおかげで使用を避ける選択ができました。代わりに鍼と経絡治療と生活改善を続け、痛みや頻脈も落ち着いています。
この経験を通じて、コートリルで改善しない不調や、推奨量を超えても症状が残る場合には、併用薬の影響を見直すことが重要だと感じました。たとえ主治医に勧められた治療であっても、自分で調べ、リスクを理解して選択することを意識するようになりました。
回復が見込める場合、HPA軸の回復には年単位の時間が必要だそうですが、焦らず取り組むことが大切だと思います。多くの気づきを与えてくださった内分泌専門医のS先生、そして情報整理に協力してくださったオンライン診療のS先生に、心から感謝しています。
[出典]どのようにしてベンゾがHPA AXIS障害を引き起こすか – ベンゾジアゼピン情報センター
[参考]Benzodiazepine suppression of cortisol secretion: a measure of anxiolytic activity?
[参考]Impaired HPA system is related to severity of benzodiazepine withdrawal in patients with depression
- 交差耐性:ある薬に耐性が生じると、構造や作用が似た他の薬にも耐性が生じること。
[出典]日本救急医学会 医学用語 解説集

