第107話「自発が育つタイミング」 診断から3年5ヶ月
副腎皮質機能低下症と診断されて、回復傾向が見えてくる前のことですが、自発が残っていた私に、専門医のS先生は「補充療法はコートリルが切れる時間が大事」と話していました。
コルチゾールの補充療法では、服薬と服薬のあいだにどうしても「谷」が生じます。コルチゾールが少なくなるので、不調が出ることもありますが、ただ、その谷は完全に悪いものというわけでもなく、体が自分で反応できる余白のタイミングなのかもしれません。
回復のプロセスでは、ある時期までは必要時に補って守ることが大事ですが、どこかから先は「ACTHを自分で出せるようにする」方向に切り替えなければならない瞬間があります。そのタイミングを見極めて、対策をシフトするのも大事なプロセスだったように感じています。
前回の受診でS先生が「もう飲むのやめてみたら?」「たまの頓服でも体に悪いことをしているのかも」と言ったあのタイミングは、今振り返ると本当に的確だったみたいです。無理をしないよう気をつけて過ごしてはいるものの、忙しい日の翌日でも体調が崩れず、コルチゾール不足にもならなくなって、気づけば最後の服薬から今日で54日が経ちました。
S先生がどんな基準で判断されたのかは分かりませんが、コルチゾール不足が自力では持ち直せないと感じた時だけ使っていた頓服を、できる限りの工夫で補いながら控えるようにした直後から、いざという場面でACTHが少しずつ働いてくれている感覚が出てきました。
もちろん今でも、本当に必要な時のためにコートリルは常に持ち歩いています。ただ、この病気の回復には「手厚くしすぎない方が良い時期」があって、そのタイミングをS先生が見抜いてくれた可能性は高く、改めて信頼できる先生だと感じています。
コルチゾールの谷が深すぎると、体はそれを越えられず、コートリルを追加せざるを得なくなります。回復がはっきり分かる前から、その谷をどう工夫して過ごすのかを日々考えながら暮らしていたので、結果的に私は比較的うまくコントロールしながら過ごせていたのかもしれません。
私のように、「手厚すぎる増量を繰り返さない方が、回復がスムーズに進む人」もいるようです。少しずつ越えられる深さの谷を見極めながら、自分の力を育てていこうと思います。