第112話「深夜2時の出来事」 診断から3年8ヶ月

副腎皮質機能低下症と診断されてから3年8ヶ月、コートリルを頓服に切り替えて2年3ヶ月が経ちました。私は日頃から、心拍やHRV、体調の変化を「初期サイン」として捉え、症状が強く出る前にリカバリーモードへ切り替えることを意識しています。無理を重ねず、初期の段階で整えることが、安定を保つ鍵だと感じているからです。

資料

旅行から戻ってコートリルに頼らず、安定して過ごせていました。もしかすると、健康な人のように過ごせるようになってきたのかもしれないと思える日も続いていました。そこで、予定が詰まっている一日をあえて選び、コルチゾール不足の「初期サイン」を意識しながらも、そのまま対策せずに過ごせるかどうか、試してみることにしました。

その日は朝から万全とは言えないコンディションでしたが、周囲のペースに合わせて終日動きました。途中で何度か「初期サイン」は出ていましたが、23時過ぎまでノンストップで予定をこなしました。帰宅後は強い不調というより疲れと眠気がある程度で、そのまま自然に眠りに入りました。

もしかすると、健康な人のように少し無理ができるところまで戻ってきたのかもしれないと、どこかで淡い期待も抱いていました。

深夜2時過ぎ、突然の腹痛と吐き気で目が覚めました。激しい腹痛と吐き気で、水を飲むことも難しい体感でした。意識が遠のくような感覚があり、全身から指先まで倦怠感が広がっていきました。指の関節がこわばり、動かしにくく、痛みも少しずつ強くなっていきました。

腹痛と吐き気がひどく、何度か這うようにしてトイレに行きましたが、吐いたりお腹をこわしたりするわけではありませんでした。水やスポーツドリンクも受けつけず、視界は暗く霞み、手に負えない感覚が強まっていきました。明らかに普段とは違う状態で、救急を考えるところまで悪化した段階で、「副腎皮質機能低下症」と「コートリル」が頭に浮かびました。

無理をしたことでコルチゾール不足が進んでいる可能性もあると考え、まずコートリル2.5mgを内服しました。しばらく待っても変化は乏しく、隣で眠っていた夫に相談し、これまでの経過を踏まえてコートリル10mgを追加しました。悪寒で体が震え、体が冷たくなっていたらしく、夫が布団乾燥機でベッドごと温めてくれました。その後はコートリルが効き始め、そのまま朝まで眠りました。

この時間帯に合計12.5mgを内服しても眠れたということは、コルチゾールの需要があった一方で、自発コルチゾールは不足していたように思います。もしあのまま内服していなかったら、どうなっていたのかは分かりません。ただ、何もせずにやり過ごせる段階ではなかったように思います。

翌日は終日ダメージが残る感覚でした。過去のプレ副腎クリーゼよりは軽いものの、思うように動けない重さと全身の消耗感、頭痛が数日続きました。HRVのAI解析でもこの2日間はスコアが低く、この出来事があった時のApple Watchのバイタルも異常サインを示していました。

HRVの推移

資料

1日目の通常日は平均HRV 26ms、安静時心拍は60bpmでした。夜間は20ms台後半まで戻っていて、「正常な状態」と表示されています。一方、予定を詰めて過ごした2日目は平均HRV 22ms、安静時心拍は68bpmでした。夜になってもHRVは15〜16ms台にとどまり、十分に回復しきれていませんでした。

体調を崩した3日目は平均HRV 15ms。夜間も12〜18ms台で推移し、「ストレスに注意」の表示が続いていました。数値だけを見ると違いは数ミリ秒ですが、私の平均HRVのベースを踏まえると、平均HRVが20msを切る日は、負荷がかかっていると考えて良さそうです。

特に印象的だったのは夜間の動きでした。通常日は夜になるとHRVが持ち直します。副交感神経が優位に切り替わり、体が回復に入っているサインです。ところが負荷をかけた日は、夜になってもHRVが十分に回復せず、安静時心拍も60bpmから68〜71bpmへ上昇していました。

この「深夜2時の出来事」は突然のようでいて、データにはその兆しがすでに表れていたように感じます

ここ数ヶ月の平均値
  • 9月:平均HRV 26ms/安静時心拍 67〜68bpm
  • 10月:平均HRV 25ms/安静時心拍 69〜70bpm
  • 11月:平均HRV 23ms/安静時心拍 71〜72bpm
  • 12月:平均HRV 25ms/安静時心拍 69bpm
  • 1月:平均HRV 24ms/安静時心拍 71bpm
  • 2月:平均HRV 27ms/安静時心拍 67bpm

月ごとの平均HRVは23〜27ms、安静時心拍は67〜72bpmのあいだで推移していました。HRVが落ちる月は安静時心拍が上がり、HRVが戻る月は心拍が下がっていて、きれいに逆相関しています。忘年会シーズンだった11月はHRV 23ms、心拍72bpmで、かなりストレス寄りでした。

2月はHRV 27ms、心拍67bpmで、この数値だけを見るとここ数ヶ月で一番安定していました。それでも「深夜2時の出来事」は起きました。平均が整っていることと、急な需要に耐えられることは、必ずしも同じではないようです。

今回のことで、早い段階でサインに気づき、回復モードに切り替えることの意味をあらためて感じました。限界は突然やってくるのではなく、その前に小さな兆しが出ていることが多いように感じています。HRVや安静時心拍の推移を見ていると、その兆しは数値にも表れているように思います。

そして今の私は、ゆるやかな日常を回すだけのコルチゾールは作れていても、無理を前提にした生活を支える余裕までは、まだないのかもしれません。今の頓服での生活は、初期サインに気づいた段階で整えることによって保たれているように感じています。



2026.3.3
pagetop