第106話「回復期の個別差」 診断から3年5ヶ月

副腎皮質機能低下症と診断されてから3年5ヶ月、コートリルを頓服に切り替えて2年が経ちました。

この40日間で、何を食べても何を飲んでもコルチゾール不足を招かなくなり、今まで何故か使えなくなっていた日用品やコスメも、ふつうに使えるようになりました。長いあいだ食物アレルギーか不耐症だと思っていましたが、もしかしたらコルチゾールが十分に回っていなかっただけという可能性もあるのかもしれません。

適度にカフェインの飲み物を飲んでも体調に影響せず、コルチゾール不足にもならなくなりました。お茶を飲んでも電解質異常になることもなく、しかも睡眠の質にも影響しなくなったので、やっと普通の範囲で楽しめるようになったみたいです。

去年までは耐寒性が低くて、気温と自分の服装の感覚に5度くらい誤差がありましたが、今年の冬は一般的な選び方で快適に過ごせています。入浴も負荷と感じなくなりました。振り返ると、暑い時に汗をかいて、寒い時に保温するという、ごく自然な調節が長い間うまく働いていなかったんだと思いました。

人並みにマイナーな不調はありますが、以前のように「何をしても体調が落ちる」という不安定さは全くなくなりました。

この3年5ヶ月は、複雑に絡んでいた不調や薬剤の影響を、ひとつずつほどきながら進むしかない謎解きのような道のりでした。それでも、必要な時に必要な情報に出会い続けていたことや、適切な医師の判断を受けられたこと、身体がその変化についてきてくれたことは、幸運だったと感じています。

副腎皮質機能低下症まわりの「部分的な抑制」「薬剤性の影響」「回復期の負荷耐性」「ACTHの戻り方」などは、断片的なエビデンスは確かに存在しています。でも、その断片がひとつの体系にまとまっているわけではなくて、論文の一部、ガイドラインの注釈、海外患者の体験談、副腎以外の内分泌研究など、別々の情報を自分でつなぎ合わせないと“道筋”が見えてこない領域でした。

だから、やってきたことは「素人ながら資料や論文を読み込んで、点と点をつないで一本の線にした」という作業に近かったように感じています。医師側も、そこまで細かい“回復期の個別差”まで扱う余裕がないことも多いですし、患者自身が日常の変化を拾いながら調整していくしかない部分もありました。

そういう意味では、たどってきた過程は独学に近い部分もありましたが、小さな答えを積み重ねながら進んできた結果が、今の状態につながっているのは間違いないと思っています。



2025.11.23
pagetop