第97話「軌道修正」 診断から2年11ヶ月
入院の経緯と今後の体調管理について、かかりつけのH先生のクリニックで相談してきました。なぜ入院に至ったのかをあらためて振り返り、専門医のS先生からの説明と照らし合わせてみる中で、自分の中にあった理解のズレに気づきました。
専門医のS先生から「副腎クリーゼの可能性は低い」と言われていたことを、私はいつの間にか「軽いコルチゾール不足くらいで済む」という意味に置き換えて受け取っていました。日本の患者さんが書いている情報の一部には、「副腎クリーゼ」という言葉が、実際よりも広い意味で使われていることが多く、私自身もその流れに影響を受けてしまっていました。そしてこの誤解が、判断を遅らせる一因になってしまいました。
その点をH先生に話すと、「なるほど」とうなずいたあと、「命の危機にならないとしても、だからといってそれでいいかといえば、そうじゃないよね」と言ってくださいました。副腎クリーゼではなくても、コルチゾール不足の症状は本当につらく、生きた心地がしません。H先生もその感覚を理解してくれていると感じられて、とても心強く思いました。
振り返ってみると、専門医のS先生も、「命の危機ではないから大丈夫」という判断ではなく、「私が安心して過ごせるか」「ぶり返して困った状態にならないか」という視点で、今回の入院を決めてくださっていました。自分の受け取り方が少しずれていて、医師側の意図とは違って見えていただけだったと、ここで腑に落ちました。
現在の血中データは、コルチゾール13.5μg/dL、ACTH38.1pg/mLで、数値としては回復してきていますが、まだ強い負荷に完全に対応できる段階とは言えません。シックデイ投与に加えて、必要な場合は輸液も含めて、H先生のクリニックで対応してもらえる体制が整いました。
専門病院にすぐ行けない場面があっても、その手前を支えてくれるかかりつけ医がいてくれるのは、大きな安心材料です。今回の経験は、主治医との認識をすり合わせ、自分のコントロールを見直す大切なきっかけになりました。