第121話「スペシャリスト」

診断から4年2ヶ月 2026.9.5

主治医のS先生のご協力で、憧れの推しドクター、柳瀬先生の診察を受けてきました。
これまでの経緯と今の状態を見ていただき、診断を受けて補充療法を始めてから、適正に過ごせていると太鼓判を押していただけました。

ITTの検査結果(頂値5.5μg/dL)からも、私は決して軽度のケースではないそうです。それでも20mgから頓服まで進めることができたのは、かなりレアな患者さんだと教えていただきました。

専門知識のない一人の患者として、体調も思考力も万全ではない時期に手探りで積み重ねてきた判断を、この分野のスペシャリストに初めて答え合わせしてもらえた。そんな時間でした。

そして、同じように適切な補充で良い状態を保てている患者さんの話も聞かせていただきました。負荷試験などから医学的に副腎皮質機能低下症と診断されていても、日常はコートリルを飲まずに過ごせていて、シックデイの時でさえ飲まずに乗り切れている患者さんもいるそうです。過ごし方次第では、そこまでの管理ができる人もいると知れたことは、大きな収穫でした。

量の目安

まず教えていただいたのは、量の相場観でした。私のように頓服の人から、5〜15mg程度がリスクの少ない適量になる人が多いそうです。体格が大きい方や、過酷な仕事をされている方、状態が複雑な方でも20mgくらいまで。ただ、その20mgというのはかなり余裕を持った設定で、そこから追いコートリルを重ねて頻繁に30mgを超えながら過ごしても大丈夫とは、医療側は考えていないようでした。

減らす、という選択

私が20mgから頓服まで減らせたことにも、かなり驚かれました。そのプロセスで取り入れた工夫もお伝えしましたが、増やさない生活設計以上に、減らすための生活設計はさらにシビアで、あらゆる負荷や併用薬の影響まで削ぎ落としていかないと、私には無理でした。

専門医からも、「寝たきりにならないと減らせない」と言っても過言ではないくらい、減量が難しい人もいると聞きました。自分が減らせたことは、決して当たり前ではなかったことが、この日はっきり分かりました。

増やす側の危うさ

減薬の難しさと表裏一体なのが、過剰投与のリスクです。間違った解釈が原因で、コートリルを過剰投与してしまう患者さんが一部いて、そうなるとコートリルが効きにくい体質になってしまい、適正量に戻すのがとても大変で、半数の患者さんは戻れなくなってしまうそうです。

なので、罪悪感なくコートリルを増やすために生まれた「追いコートリル」という言葉に、私はどうしても良いイメージが持てません。むしろ、「罪悪感」という心理的なハードルがあることは、不要な追加を減らす方向に働き得ると思っています。

国内外の論文やガイドラインを読んで、自分の経過と照らし合わせながら理解しようとしてきたこと。コートリルが気持ち的にも依存性のある薬だと見抜いて、乱用せずに過ごせたこと。早い段階で適量を探しに行ったこと。そのどれもが、間違っていなかったと分かって、本当に良かったです。あのまま20mgを飲み続けていたら、私の中の一部の機能は、今も戻らないままだったと思います。

これから先もコートリルを使いながら生きていく可能性が高いですが、一線を超えて飲み過ぎると減らすのが困難になることは、頭の片隅に置いて過ごそうと思います。

繋いでくれた人たち

この分野の超スペシャリストの先生からアドバイスをいただけたこと。そして、私の主治医が、その先生に近いスペシャリストだったことも幸運でした。その先生に繋いでくれた、開業医のH先生のおかげです。

頓服で過ごせているとはいえ、私のコルチゾールは常に低めで、ペース配分とストレス管理が欠かせません。

健康な人と軽症者のコルチゾール日内変動図1 健康な人と軽症者のコルチゾール日内変動

でも、補充療法でコートリルを飲んでいる方々も、違った意味でしんどい部分があると思います。

健康な人とコートリル補充時のコルチゾール日内変動図2 健康な人とコートリル補充時のコルチゾール日内変動

人それぞれ課題は色々だけど、少しでも体調が良い時間を増やして、なるべく健康的に暮らしていけるように。
この病気の方々と一緒に学んでいけたらいいなと思っています。

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